夜明けの怪人図書館

不定期更新。やっぱり本が好き。

ジョンストン・マッカレー『快傑ゾロ』

弱きを助け、強きを挫く。権力者の敵で、庶民の味方。

そんなキャラクターに読者が心惹かれるのは、いつの時代も同じなようだ。

今回の一冊は、世界的に有名な義賊の物語。

 

 

ジョンストン・マッカレー『快傑ゾロ

 

メキシコがスペイン領だった頃、カピストラノ地方には快傑ゾロを名乗る盗賊が出没していた。

原住民を虐待した者、貧乏人から搾取する役人らに決闘を挑んでこれを懲らしめ、壁にサーベルで“Z”の文字を刻んで去っていく仮面の紳士義賊、快傑ゾロ…!

 

ある日、元大地主の娘のロリータは、富豪の息子のドン・ディエゴ・ベガから求婚される。しかし彼は無気力ぐうたらドラ息子、プロポーズに返答できかねていた。

ドン・ディエゴ・ベガとは正反対の、男気溢れるラモン大尉からも求婚されるロリータだが、彼女には既に心惹かれる相手がいた。それこそが、ある事件で出会った快傑ゾロであった。

 

 

横柄で乱暴な軍人・役人を敵に回し、お尋ね者となった快傑ゾロ

彼の勇気とジェントリー溢れる冒険と決闘の物語であり、ロリータを中心とする恋物語でもある、この作品。発表と同時に大反響だったようで、1919年に発表されて1年後、もう映画化されているそうな。

『怪傑ゾロ』『奇傑ゾロ』などのタイトルで親しまれているこの作品は、日本ではアラン・ドロンアントニオ・バンデラスが主演した映画がメジャーだろうか。

 

素性を隠した義賊、紳士的なお尋ね者、そしてゾロの正体…。

私はあまり物語の歴史には詳しい方ではないが、この『快傑ゾロ』はアンチヒーロー・ダークヒーローを主役にした全ての作品の、原型を成立させた作品ではないだろうか。

しかしながらその原典は日本では驚くほど流通しておらず、きちんと読めるのは今回参考にした角川文庫版(98年に改版)と、2005年に発売された創元推理文庫のみだった。

ちなみに私が持っている角川文庫版は、古本屋のワゴンから10円くらいで買った。カバーがない事を除けば、至って良品だ。

 

誕生して、あと2年で百年になる。

それでも色褪せないどころか、「今求められているのはこんなヒーローじゃないか」とさえ思えてくる、快傑ゾロ。う~む、カッチョイイぜ。

 

 

★今回の一冊

快傑ゾロ』(角川文庫 / 1998年)