夜明けの怪人図書館

不定期更新。やっぱり本が好き。

江戸川乱歩『怪人二十面相』

そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。

 

昭和11年。日本を代表するダークヒーローがデビューした。大胆不敵・神出鬼没の大怪盗、怪人二十面相だ。

 

 物語が始まった時点で、既に東京じゅうで噂されるほどの知名度を誇っている怪人二十面相

現金にはあまり興味を持たず、盗むのは宝石や美術品。人を殺傷する事はなく、盗みを働く前には必ずその場所に犯行予告状を送り付ける。

そして何より、「二十の顔を持つ」と呼ばれるほどの変装上手。

 

怪人二十面相と日本一の名探偵:明智小五郎の対決、そして明智小五郎の助手である小林芳雄を団長とする少年探偵団の活躍。

明智小五郎の名推理と、少年探偵による子供ならではの機転で、世紀の大怪盗を追い詰める知恵と知恵の冒険活劇が、この『怪人二十面相』だ。

 

私がこの本に出会ったのは、高校生の頃だった。

学校の図書館に、この『怪人二十面相』をはじめとする少年探偵団シリーズの本が一式揃っていて、夏休みの間に読もうとこれを借りた。

本文は常に“~~です・~~ます”の口調で書かれ、まるで物知りなお爺さんに面白い話を語ってもらっているかのような感覚で、一気に読破した。

たしか家族で外出する機会があって、その移動中に読んだのだが、何処に行って何をしたのかはサッパリ覚えていないのに、この本を読んだ時の衝撃は10年近く経った今も忘れない。

今はテレビもパソコンもケータイもある。娯楽は腐るほどいっぱいある。だが、70年前の少年少女達にはそれに勝るとも劣らない、贅沢な娯楽があった。それが、少年探偵団シリーズだ。

 

ある程度大人になってからだが、少年探偵団シリーズを紹介する本を幾つか購入した。その中で、映像化されたものやグッズ展開に触れた項目があった。

映画化・ドラマ化のメディア展開は勿論。本編で少年探偵団が持っていたBDバッジは雑誌の応募サービスで登場し、ファンの垂涎の的だったそうな。

カルタやすごろくに、変装グッズの玩具。当時の流行っぷりは、今の子供達が仮面ライダーウルトラマンに目を輝かせるのと、何ら変わらないようだ。

 

怪人二十面相』をキッカケに他の江戸川乱歩作品も読むようになったし、得体の知れぬ怪人二十面相の正体をアレコレ推測して、他の作品に触れても「このキャラクターはどんな人間なんだろう」と深読みするようになった。

色々読んできた(つもりの)私がターニングポイントを挙げるとすれば、それは間違いなく『怪人二十面相』との出会いだ。

 

最後に。

シリーズの『サーカスの怪人』という作品の中で、怪人二十面相の本名が明かされている。

だがこの頃の怪人二十面相は、シリーズ開始当初の変装上手な大怪盗というより、奇妙で奇怪なコスチュームで世間を賑わせ、そのついでに盗みをはたらくようなキャラクターにシフトしていた。

だから私は、怪人二十面相は複数人存在していて、『サーカスの怪人』で名前が明かされたのはあくまでその内の一人でしかないんじゃないか、とも思っている。

 

怪人二十面相よ、君は誰で、今どこにいる?

 

 

★今回の一冊

『少年探偵団・江戸川乱歩 第1巻 怪人二十面相』(ポプラ社 / 1998年)

 

※参考文献

別冊宝島1587号 僕たちの好きな怪人二十面相』(宝島社 / 2009年)

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私が読んだ本、買った本、なんか気になってる本、思い出に残ってる本。

純文学もライトノベルも、文庫も親書もハードカバーも、小説もマンガもアメコミも、児童書や童話も…。私が興味を持ったものすべて、不定期ながら徒然なるままに綴っていく予定です。

ジャンルは全くバラバラになるでしょうが、「あー、こんな本もあるのかァ~」と、お付き合いいただき、そして皆さんの読書ライフの1ページになれたら幸いです。

 

さてさて、次回更新からさっそく私の好きな本を好きなだけ書くつもりですが、記念すべき(?)第1回目に挙げる本は……アレかなぁ、ぐっふっふ~。